アルトル日和
「繋がる想い」
約480年前、戦火により京都薬師寺に奉納されていた繍佛が焼けたそうです。
長年の時を経て再び奉納用の繍佛制作をしている五反田の薬師寺別院へ伺いました。
※繍佛・・・仏像を刺繍によって表したもの
日本刺繍作家さんの指導のもと、数十名で制作を進めています。
刺繍の大きさは横6.45m縦8.88mととても大きな作品で、根気のいる地道な作業です。
開始から1年、お釈迦様の輪郭が1目数ミリの相良縫い(さがらぬい)と
鎖縫い(くさりぬい)によって徐々に浮かび上がっており、命が吹き込まれているようです。
絆が結ばれるように、相良縫いの玉結びに想いを込め、
鎖のように強く絆が繋がっていくように、鎖縫いを施しているそうです。
制作している方から「生きている間に、完成を見る事は出来ないかも」
との声があるくらい長く労力の必要な制作ですが、この世に居なくなった後も、
制作が続けられ想いが繋がり、完成後数十年〜数百年と薬師寺に飾られるなんて
とても価値のあるロマンチックな制作だと感じました。
いつの日か薬師寺でこの繍佛を観るのがとても楽しみです。